無職になって、予定が一つもない日があった。
無職になって、ある日、気づいた。
今日は、予定が一つもない。
誰かに会う予定もなく、
どこかへ行く予定もなく、
やるべきこともない。
カレンダーを見ても、何も書いていなかった。
予定がない日は、今までもあったはずだ。
でも、「本当に何もない日」は初めてだった気がする。
働いていた頃は、予定がなくても、仕事という前提があった。
出勤する。
時間が決まっている。
終わる時間も、だいたい分かっている。
予定がない、というより予定が見えないだけだった。
今は違う。
今日は、どこにも行かなくていいし、誰にも会わなくていい。
そう思った瞬間、少しだけ立ち止まった。
何をしよう、という考えが出てこなかったからだ。
本を読むでもなく、テレビを見るでもなく、掃除をするでもなく。
ただ、座っていた。
時間が止まったわけではない。
時計は進んでいる。
外も明るくなって、昼になって、夕方になっていく。
でも、「次」がない。
次に行く場所も、次にやることもない。
それが、怖いとも言えず、楽とも言えなかった。
予定がないと、人は何者でもなくなる。
誰かのための役割も、時間に追われる理由も、一旦、消える。
その状態で一日を過ごすのは、
思っていたより静かだった。
焦りが出ると思っていた。
不安で落ち着かなくなると想像していた。
でも実際は、何も起きなかった。
昼になり、腹が減り、何かを食べた。
夕方になり、外が暗くなった。
予定がなくても、一日は勝手に進む。
それが、少し不思議で、少し安心だった。
予定がない一日を何度か過ごすうちに、分かったことがある。
人は、予定がなくても壊れない。
何かを決めなくても、
何かを生み出さなくても、生きていられる。
それが良いのかどうかは、まだ分からない。
ただ、予定が一つもない日が
確かに存在して、自分はそれを生き切った。
今日は、それでいいと思っている。


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