54歳、無職。今日も特に何も起きなかった。
今、無職で54歳。
離婚もしている。
仕事を辞めた理由はいくつかある。
けれど、それをここで説明はしません。
説明したところで、何かが良くなるわけでもないからです。
朝はだいたい同じ時間に起きる。
目覚ましはかけていないが、身体が勝手に起きる。
コーヒーを入れて、テレビをつけて、消す。
無職になると、時間が余ると思っていた。
実際には、余るというより、
時間がそのまま流れていく感じに近い。
今日は何をしようか、と考えることはあまりない。
何もしなくても、一日は進む。
それが分かっただけでも、少し不思議だった。
離婚したときもそうだった。
大きな出来事のはずなのに、生活は意外なほど変わらなかった。
誰かと一緒に食べていた夕飯が、一人分になっただけ。
会話がなくなっただけ。
静かになっただけだ。
静かになった、というのは良いとも悪いとも言えない。
ただ、音が消えた感じがする。
仕事がなくなってから、人と話す機会は減った。
「これからどうするんですか?」
と聞かれることも、ほとんどない。
聞かれなくなると、答えを用意しなくてよくなる。
それは少し楽でもあり、少し心細くもある。
お金の不安がないわけではない。
でも、無職になって一番変わったのは、
お金よりも期待だった。
職場からの期待。
年齢相応であるべき、という期待。
それらが一気に減った。
期待されないと、評価されることもない。
怒られることも、褒められることもない。
ただ、今日を過ごすだけになる。
昼に何を食べたか、今はもう思い出せない。
でも、空腹は満たされた。
夕方になると、なんとなく外が暗くなっていく。
今日も一日が終わる。
「何者にもなっていない」
そう言えば、そうなのかもしれない。
でも、何者でもない時間を生きているとも言える。
それが正しいのか、間違っているのかは分からない。
ただ、今日も起きて、今日も一日が終わってしまった。
今は、それでいいと思っている。


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